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生澤 佳久; 廣岡 瞬; 宇埜 正美*
2018 GIF Symposium Proceedings (Internet), p.321 - 327, 2020/05
放射性廃棄物削減の観点からMA-MOX燃料の研究開発が進められている。MA-MOX燃料の開発には、MA添加が照射挙動に及ぼす影響を明らかにすることが不可欠である。AmのMOXへの添加は、燃料温度を評価する上で重要な物性である蒸気圧および熱伝導率に影響を与える。これは、蒸気圧が燃料の再構成に影響を与え、熱伝導率が燃料温度分布に影響を与えるためである。本研究では、これらの物性に着目し、照射挙動解析コードを用いてAmによる照射中の燃料温度への影響を評価した。Am含量率の増加は、熱伝導率を低下させ、酸化物燃料の酸素ポテンシャルを増加させる。Am含量率の増加により、蒸気圧が増加するため、ポア移動速度が速まり、中心空孔径が拡大する。その結果、中心空孔の形成後においては、Am含有が燃料中心温度に及ぼす影響は軽度であった。また、アルファ崩壊による自己照射は、熱伝導率に影響を与えることが知られている。Amは典型的なアルファ放射性核であるため、Am-MOXの燃料温度を評価するためには、自己照射が熱伝導率に及ぼす影響を考慮する必要があり、その影響を評価した。自己照射によって熱伝導率が低下し、Am含有量が増加すると熱伝導率の低下率が加速されるが、温度上昇に伴って回復する。そのため、自己照射による熱伝導率の低下が燃料中心温度に与える影響はわずかであることが分かった。これらの結果は、従来のMOX燃料と同じ条件下でAm-MOX燃料を照射できることを示唆している。
生澤 佳久; 森本 恭一; 加藤 正人; 齋藤 浩介; 宇埜 正美*
Nuclear Technology, 205(3), p.474 - 485, 2019/03
被引用回数:2 パーセンタイル:21.58(Nuclear Science & Technology)混合酸化物燃料の熱伝導率に及ぼすプルトニウム含有量と自己照射の影響を評価した。熱伝導率の測定試料は、UO燃料および数種類のMOX燃料である。MOX燃料は、数種類のプルトニウム含有量及び、20年間保管したものである。これらの試料の熱伝導率は、レーザーフラッシュ法により得られた熱拡散率測定値から決定した。プルトニウム含有量の増加に伴い熱伝導率は低下したが、この効果はわずかであった。保管されたMOX燃料の試料を用いて、自己照射の効果を調べた結果、自己照射による熱伝導率の低下は、プルトニウム含有量、同位体組成および保管期間に依存することが分かった。格子パラメータの変化から、20年間の保管による熱伝導率の低下を予測することが可能であり、また、自己照射による熱伝導率の低下は、熱処理により回復し、1200Kを超える温度でほぼ完全に回復した。これらの評価結果から、フォノン伝導モデルに基づく熱伝導率を定式化した。この式は、プルトニウム含有量と自己照射の影響を考慮し、MOX燃料の熱伝導率を予測することができる。
徳永 陽; 西 剛史; 中田 正美; 伊藤 昭憲*; 酒井 宏典; 神戸 振作; 本間 佳哉*; 本多 史憲*; 青木 大*; Walstedt, R. E.*
Physical Review B, 89(21), p.214416_1 - 214416_8, 2014/06
被引用回数:7 パーセンタイル:31.93(Materials Science, Multidisciplinary)AmOの低温の磁気相転移の起源をO NMR法により調べた。この相転移については帯磁率では8.5K付近で明確な異常が観測されるが、中性子やメスバウアー分光測定では磁気双極子の秩序は観測されていない。このためNpOと同じ高次多極子の秩序の可能性も指摘されていた。今回我々は新たにO核を置換したAmO試料を準備し、それをできる限り短時間でNMR実験サイトへと運び測定を行った。これにより自己照射効果がほぼ存在しない場合の電子状態を確認することができた。さらに同試料を極低温状態に一ヶ月保管することで、自己損傷効果が急激に進み、それによって短時間で試料内の電子状態に変化していく様子を観測することができた。さらにNMRスペクトルの温度依存性と核磁気緩和時間の測定から、AmOの磁気相転移がスピン-グラス的な特徴を持つことも明らかになった。
三田村 久吉
博士学位論文, 00(00), p.1 - 265, 1997/00
キュリウム-244を添加した高レベル廃棄物含有多相チタン酸塩セラミックス(シンロック)の自己照射損傷に関する一連の研究についてまとめを行った。まず、加速試験における崩壊線量に対応する加速年数を推定し、加速年数の目標を10万年とした。次いで、コールド試作装置で良好な試料が作製できることを確認し、試作装置がホットセル装置に適用可能なことを明らかにした。これを基にホットセル装置を整備してCm添加試料を作製し、試料の再現性と添加Cmの均一性を明らかにした。また、浸出試験におけるCm浸出量の定量のため、線を利用した測定装置を開発した。プロセス不純物が多い高レベル廃棄物を含んだCm添加試料の密度は線量の増加と共に徐々に減少し、1万年を過ぎた頃から亀裂の発生によるより大きな密度減少を示した。また、3万年経過後には、亀裂の発生により表面積が1桁増加し、さらにアクチノイド母相であるペロブスカイトの耐浸出性が1桁悪くなることが分かった。一方、プロセス不純物が少ない高レベル廃棄物を含んだCm添加試料の密度は線量の増加と共に徐々に減少し、10万年が経過しても同様な速度で減少し続けていた。
坂本 隆一; 長岡 鋭; 斎藤 公明; 堤 正博; 森内 茂
JAERI-M 94-060, 21 Pages, 1994/03
ガラス線量計の自己照射、宇宙線寄与を実験的に決定した。3球形NaI(Tl)シンチレーション検出器の単位吸収エネルギーに対するガラス線量計への寄与分を表わす係数を用い、今後は自己照射および宇宙線寄与を簡易に求めることができる。解析の結果、使用したガラス線量計の自己照射寄与は0.980.82~7.61.8(nGy/h)、宇宙線硬成分寄与は20.53.0(nGy/h)、宇宙線軟成分寄与は6.62.2(nGy/h)であった。また上述の係数値は0.990.11nGy・h/(MeV・s)であった。また、環境中に配置したガラス線量計の方向特性およびNaI(Tl)シンチレーション検出器との比較測定を実施した。その結果、設置方向による感度の違いが無いこと、ガラス線量計の測定値から自己照射、宇宙線寄与を差し引くことにより、NaI(Tl)シンチレーション検出器による測定値とガラス線量計による測定値とは良く一致することを確認した。
前川 洋
JAERI-M 6055, 15 Pages, 1975/03
核融合炉のリチウムブランケット模擬実験において、トリチウム生成率分布を測定するのは重要な譲題であり、その測定法の確立が望まれている。トリチウムと他の誘導放射能の半減期の差をうまく利用して、LiFの熱蛍光線量計(TLD)による自己照射法を使った測定法を提案すると共に、FCAを用いた予備的実験から原理的に可能であることを示した。測定上の問題点について整理・検討を加えた。この測定法は、複雑な化学的操作を行なう必要がないことが大きな特長となっており、今後有効な測定手段になると考えられる。
徳永 陽; 西 剛史; 中田 正美; 伊藤 昭憲*; 酒井 宏典; 神戸 振作; 本間 佳哉*; 本多 史憲*; 青木 大*; Walstedt, R. E.*
no journal, ,
AmOの電子基底状態に対する自己損傷効果の微視的研究を行った。AmOの電子基底状態についてはNpOと同じ高次多極子の秩序の可能性が指摘されていた。今回我々は新たにO核を置換したAmOを準備し、それをできる限り短時間でNMR実験サイトへと運び測定を行った。これにより自己照射効果がほぼ存在しない場合の電子状態を確認することができた。さらに同試料を極低温状態に一ヶ月保管することで、自己損傷効果が急激に進み、それによって非常に短時間で磁気秩序相のNMRスペクトルが変化していく様子を観測することができた。本研究により初期の自己損傷効果を微視的に評価をすることができた。講演ではこれらの結果を基にAmOの磁気相転移の起源について議論する予定である。
西 剛史; 林 博和; 畠山 祐一; 倉田 正輝
no journal, ,
比較的半減期の短い崩壊核種を高い濃度で含むMA核変換用燃料は炉内あるいは炉外での保管中に自己照射損傷による熱伝導率の低下が起こることが予想される。そこで、崩壊の影響を短時間で観測するため、半減期18.1年のCmを5mol%含有したZrPuCmN固溶体を調製し、レーザフラッシュ法により熱拡散率の経時変化を測定することで、MA含有窒化物燃料の熱伝導率の経時変化に対する自己照射損傷の影響を評価した。
生澤 佳久; 森本 恭一; 加藤 正人; 宇埜 正美*
no journal, ,
酸化物燃料の熱伝導率は、照射中の燃料温度分布に影響を及ぼすため、最も重要な物性の1つである。熱伝導率は、O/Mおよび燃焼度に強く依存することがよく知られており、UO燃料については多くの研究がなされている。一方、ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料の熱伝導率は、前述の要因に加えてプルトニウム含有量およびアルファダメージの影響を受けるため、UO燃料よりも複雑である。本研究では、保管燃料、照射済み燃料及び、プルトニウム含有率の異なるMOX燃料の熱伝導率を測定し、これらの測定結果から、MOX燃料のプルトニウム含有量、アルファダメージおよび燃焼効果を調べた。
高野 公秀; 高木 聖也
no journal, ,
マイナーアクチノイドを高濃度に含有した燃料には、製造後の保管中に線自己照射損傷による格子欠陥とHe原子の蓄積が速く進む。格子欠陥蓄積による結晶格子膨張はよく知られた現象であるが、バルク(焼結体)寸法変化に関する既存知見はほとんどない。ここでは、主要な線源としてCmを添加した窒化物燃料ペレットを焼結し、室温保管時の格子定数と寸法の経時変化の相関データを取得した。
高野 公秀; 高木 聖也
no journal, ,
MA核変換用窒化物燃料のふるまいに関して、燃料製造後の保管中に蓄積したHe原子が高温でガス放出される際の影響を明らかにするため、室温で2年間保管したCm含有窒化物燃料ペレットの焼鈍試験を行い、寸法と組織変化に関するデータを取得するとともに、過去に同様の試験を行ったCm含有二酸化物と比較検討した。焼鈍開始直前において、ペレット寸法は1.1%膨張しており、結晶格子膨張の数倍の値を示したことから、結晶粒中の原子空孔が集合してボイドを形成したことが示唆され、二酸化物には見られない新たな知見を得た。焼鈍によるペレット寸法回復挙動において、800C以上でのHeガス放出によるスエリングは、窒化物では軽微であった。この理由として、組織観察の結果から、二酸化物に比べて窒化物では結晶粒径が小さく、開気孔が多いためと考えられる。1300Cでの焼鈍によっても、ペレット膨張は0.6%残存しており、室温で形成されたボイドが完全に消滅しなかったことから、燃料ピンのギャップ設定に考慮する必要がある。